なぜ「屋上緑化」ではなく「屋上ビオトープ」なのか

 ヒートアイランド現象の緩和やCO2の削減をめざして、都市部を中心に「屋上緑化」が進められています。

 しかし、「屋上」という厳しい自然条件の中で、施工方法やコスト対効果、日本の風土にあった植栽の選定など、様々な課題について十分に検証がなされないまま、とりあえず「緑化なら何でも」といった趨勢の中で進められていることが多く、まだまだ試行錯誤の段階といえます。

 ビオネットでは2004年から、こうした各地の「屋上緑化」事例の情報収集にあたるとともに、勉強会を開催するなどして、「屋上緑化」ではなく自然生態系に配慮した生きもののコリドーとしての役割を果たす「屋上ビオトープ」の提案ができないか、それを実際に実験できる所がないかなどメンバー企業を中心に検討を進めてきました。そして、府の保健環境研究所内に実験地を確保することができ、屋上ビオトープと芝生基盤材区域、太陽光発電による雨水循環システムの施工整備を行いました。


<実験研究の方法>

方法1:「生きものを呼び込むしかけ」

〜トンボ・チョウ・鳥などが飛来するビオトープ〜

周辺の植生に近い植栽や生きものを呼び込むしかけを考えながら観察や管理を進め、人が自然に関われる楽しみもある屋上ビオトープをめざします。

方法2:「軽量土壌の検証」

〜グリーンリサイクルの活用〜

バンブーパウダー・もみ殻・活性炭を使った芝生基盤材の比較テストを実施し、軽量土壌素材の提案をします。

方法3:「自然エネルギーの活用」

太陽光発電による雨水循環システムの開発実験をし、環境に配慮した屋上ビオトープの提案を進めます。

方法4:「科学的検証」

張り芝階下の室温測定とデータ分析を京都教育大学と保健環境研究所の共同により実施します。また、ビオトープの生物調査を保健環境研究所とビオネットボランティアにより実施します。

方法5:「府民参画による協働実験研究」

ビオネット+京都教育大学+京都府(環境企画課・保健環境研究所)の民・学・官による協働研究により、「屋上ビオトープ」についての政策への反映を図ります。


この屋上ビオトープは実験を目的に整備したものですので、一般公開はしておりません。
■京都府府保健環境研究所(伏見区村上町)

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グリーンリサイクルを活用した様々なビオトープ資材、軽量土壌などを活用し、まわりの自然に配慮した屋上ビオトープや屋上緑化の設計・施工をお手伝いします。

ビオネット事務局 E-mail:bionet@jca.apc.org